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50年前のシルクでスーツを

執筆者の写真: Motoko SimizuMotoko Simizu


今から50年ほど昔、

旦那様のお母様が恩師から戴いたという深いグリーンのシルク生地。


この節と張りがある手触りは、

たぶんタイシルクかと思われます。


それにしても、

50年もの間大事に保管なさっていたのですね。

状態はとても良く新品のようでした。


お義母様が「ぜひこれであなたのスーツを仕立て。」

とお嫁さんに託した生地。

そんな大事な生地を任せていただき、

これは気合を入れて挑まなければ!


 


生地は3メートル20センチしかありませんので、

デザインは限られます。

大きな襟は無理だけどなんとかしたいと思い、

スタンドカラー風のテーラードカラーにしてみました。


まずシーチングでトワルを制作し、

お客様に試着していただきました。





デザインは気に入っていただけました。

ジャケット全体をコンパクトしてスッキリさせたほうが良いですね。


このようにトワルによる仮縫は非常に大事で、

成否の鍵になります。


 


そしてこのようにスッキリと仕上りました。




この先年月を経てもずっと着ていただけるように、

流行に左右されないシンプルなデザインとやゆとりのあるサイズ感を意識しました。


生地の雰囲気に合わせ、

レトロ調の釦を選びました。


 

本当にとてもとてもお似合いで嬉しくなってしまいました。

もちろんお客様も大満足でした。


その日の夕方とても温かいメッセージを頂きました。

「義母に画像を見てもらったら、

こういうスーツを作ってもらいたかったのよ!

夫も、

素敵だね。

と言ってくれました。

ありがとうございました。」


泣けてきそうなメッセージです。

ありがたいですね。


次は同じ形を違う生地で仕立たいとも仰っていました。

また楽しみにしています。


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